修士論文審査準備会

修士2年生の牧野さんの第1回修士論文審査準備会を行いました。本当は今日の予定ではなかったのですが、卒業生が遊びに来てくれたタイミングで急遽実施することにしました。

卒業生3人組に応援されてちょっと緊張気味の牧野さんでしたが、発表用スライドは既にほぼ完成に近い形までできていたので、あとは微調整ですみそうです。素晴らしい! 期待しております。

練習会を終えてホッと一息

卒業研究発表会が行われました

今年は、COVID-19の影響で、実施が危ぶまれた卒業研究でしたが、感染拡大が落ち着いた合間をぬってみんなで頑張って実験を行いました。

今日はその晴れ舞台でした。蜜を避けるために舞台と階段席のある大講義室で行われたのですが、3人とも壇上に上がっても緊張することもなく、堂々とした発表ぶりでした。しかも、最終リハーサルからさらにパワーアップした内容と質問への受け答えは見事でした。

PCR、ウエスタンブロッティング、リアルタイムPCRなど聴衆の3年生には耳慣れない方法が並んでいたと思いますが、分かりやすく説明できるほどに自分で勉強してくれたのには感動しました。

今年も最強メンバーは健在だったようです。お疲れ様でした。

ゲノム編集とはなにか

クリスパーCRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見 ジェニファー・ダウドナ 著、文藝春秋

ゲノム編集とはなにか 山本卓 著、講談社BLUE BACKS

ゲノム編集法がノーベル化学賞を取りましたね。アメリカのジェニファー・ダウドナ博士とフランスのエマニュエル・シャルパンティエ博士の二人です。「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)とよばれる「ゲノム編集」の画期的な方法を開発したことが評価されました。九州大学教授の石野良純先生が発見した大腸菌の遺伝子の繰り返し配列が元になった技術です。

これは生物の遺伝子を改変する方法ですが、これまでも「遺伝子組換え」として生物の遺伝子を改変する技術はありました。しかし、効率が悪く、ヒトの治療に応用することは不可能でした。

しかし「CRISPR-Cas9」システムは簡単でしかも効率が良いので、事実上、技術としてはヒトの遺伝子を改変することが可能になりました。これまでSFの世界でしか想像できなかったことができるのです。究極的には、生まれてくるヒトの形質をデザインすることが可能になり、いわゆる「神の領域」と言われる領域に踏み込めることになります。実際、中国の医師がこのゲノム編集法を使用して、双子の赤ちゃんをエイズにかかりにくいように改変したことが議論となりました。

「CRISPR-Cas9」システムは、手法的には高校生でも可能なくらい簡単で、2012年に論文が発表されてからたった5-6年で日本の津々浦々の研究室にも広まり、実をいうと当研究室でもお世話になりました。まだ未発表ですが、耳下腺が光るマウスをこのゲノム編集法で作製してもらいました。

今回は、このHPのリニューアル前にも一度紹介したダウドナ博士の書いた本も合わせて2冊を上げておきます。ダウドナ博士の本は、遺伝科学の講義で再試験の代わりのレポートとして課題に出していました。「CRISPR-Cas9」システムの可能性に気付いてからのエキサイティングなくだりがよくわかって面白いと思います。また、これが核兵器の開発と比肩すると考えているダウドナ博士の「憂い」もわかります。BLUE BACKSのほうは、今回のノーベル化学賞受賞を受けて、ふと目にとまって買ってみました。ゲノム編集がどのように役に立つのかがよくわかると思います。

使い方を間違えると人類そのものを改変してしまうかもしれない恐ろしい技術ではありますが、私は人類を信頼したいと思います。難病の遺伝子治療などの発展に期待をかけています。

いよいよ対面講義の開始です

10月1日から看護微生物学を皮切りに1年生の対面講義が開始となりました。マスク越しではありますが、ようやく1年生の顔を見ることができてほっとしました。

1年生はオリエンテーションで飯田キャンパスに来校して以来、サークルにも入れず看護学科の校舎にも入れない状態が続いており、楽しい大学生活を想像していたのに大変な我慢を強いられてきたと思います。後期の講義はより広い医学科の講義室を借りているので、引き続き看護学科棟に来られない状態は続きますが、来年の忙しい2年生になるまでには、正常に戻ることを期待しております。

例年ですと、夏休み明けの授業では、だいぶ大学生活にも慣れて、すっかり“こなれた”1年生に会えるのですが、今年は少し違いました。前期にオンライン授業を担当した先生にも伺っていたのですが、勉強意欲のオーラが感じられます。90分2コマ続きとかなり長い講義にもかかわらず、最後まで真剣な眼差しで聞いてくれたので、私も疲れることなくあっという間の2コマでした。

先生も人間ですから、聞いてくれる学生さんが真剣に受け止めてくれると楽しくなって元気に講義しますよ。その逆に全くうけない時は講義中でも急にテンションが駄々下がりになり早く終わりたい一心で講義を済ませ、終わった後は反省とガッカリ(いやガックリ)で何もやる気がしなくなるものです。

ということで、これまで抑えていたであろう学生の皆さんの学習意欲とキラキラした真剣な眼差しに引っ張られて、私も今年の最後まで楽しく走り抜ける元気が出てきました。今年の1年生は逆境を乗り越えて、きっと微生物学が得意になるでしょう。

yeastの論文がmicrobial physiology Web版に掲載されました

https://www.karger.com/Article/Abstract/509633

この論文の研究の開始は遡ること20年前、学位を取得して間も無くのことです。ずっと継続していたわけではありませんが、大学でポジションを得たのを機に研究を再開していました。しかし、まとめるのに時間がかかってしまいました。何度か投稿したものの、現在の環境では難しいリバイスの要求やリジェクトなどで一時期は完全に諦めていました。

今年の新春に、そろそろ講義も終わりに近づき、成績入力にかかっていた頃、夫が「今、”在野研究”というのが流行っているらしいよ」と言い出しました。在野研究者とは、大学などの研究機関に所属せずに自宅などで研究を行っている方達だそうです。「大学に所属している研究者は、様々な装置も使えるし、ちゃんとメリットを生かさないとね」と励まして(?叱って?)くれたのが今回再奮起したきっかけです。

これが最後のyeastを使った論文になります(たぶん)。時間とお金と労力・能力を考えて、思い切ってテーマを取捨選択することも大切だと思いました。最近は研究室のテーマが哺乳類やその細胞を使ったものにシフトしたため、yeastの研究はもうなかなか進めることが難しくなっておりました。名残惜しいし、気になることはまだまだたくさんありますが、キリがないのでこれで最後にしようと思います。

ご協力くださった皆様、心より感謝申し上げます。

大学院講義を再開しました

夏休みも終わり、大学院の講義を再開しました。研究室の卒研生の勉強会も兼ねています。

Covid-19の影響で、今年の大学院講義ではオンラインも始めました。講義室で聴く直接参加でもよし、オンラインでもよし、どちらもokayにしています。このオンライン講義には思わぬ効用もありました。

看護学専攻では、仕事を持ちながら遠方から通ってきている大学院生も多いのですが、オンライン授業があるとわざわざ遠方から登校してこなくても仕事の合間に講義に参加できるので、Covid-19が収束してもこれは続けたいと思いました。

大学院講義は学生たちで進める教科書の輪読会を長年行っていたのですが、オンラインだとちょっと難しいので、今年は初の試みで私が話題提供をしてみんなでディスカッションをする半講義形式にしようと思って準備しました。始めてみるとどうしても私がずっと講義してしまうことになりましたが、普段の学部の講義では扱えないちょっとアドバンストの細胞生物学や研究の話で構成しました。心配もありましたが興味を持ってもらえたようでよかったです。

「あまり、ちゃんと準備していません」といいながらも、実は興味を持ってもらえるように話題を考えるなど、意外と準備には時間がかかっており、どの学習レベルの学生さんでも何かしらひとつくらい知識を持ち帰ってもらえるように考えたつもりです。

以前から生命科学の基本と先端、その基礎研究がどのように臨床に応用されていくかという講義をやりたいと考えていたので、オンライン講義に後押しされて準備のちょうどいいきっかけになりました。

リニューアルオープンしました

長らくお待たせしました。ようやくHPをリニューアルいたしました。

予定では、学科のHPリニューアルに合わせてオープンするつもりでしたが、Covid-19騒ぎや実験などを理由になかなか取り掛かれませんでした。今回、実験の失敗で意気消沈して時間ができたためにようやく取りかかった次第です。

Covid-19のせいで大学は、授業がオンラインとなり、慣れないシステムに少々戸惑いましたがなんとか前期は終えることができました。この春に就職したばかりの修了生の皆さんは現場でどうお過ごしでしょうか。気にかかります。

全国のみなさま、どうぞご健康に気をつけて少しでも気持ちを明るくお過ごしください。

昨年11月の黒門会(大学院の同門会)の次の日、広島大学の藤井先生と東京駅周辺を散歩した際に撮った写真です。ラクビーで日本が盛り上がっていた頃で、この数ヶ月後にはCovid-19で大変な騒ぎになるなど想像もしていませんでした。この後、皇居に大嘗宮を見にいきました。なんだか遠い昔のようです。